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歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしり・食いしばりの
種類

「歯ぎしり」や「食いしばり」は、歯の合わせ方によってさまざまなタイプがあり、中には歯や顎に深刻なダメージを与えるものもあります。特に、強く噛みしめるタイプの「クレンチング」は、歯への負担が非常に大きく、近年増加傾向にあるため注意が必要です。
また「グラインディング」のように、歯をギリギリと擦り合わせるタイプも、歯の摩耗や顎関節への負担を引き起こす可能性があります。
ご自身の歯ぎしりや食いしばりがどのタイプか気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。

グラインディング

グラインディングは、夜間の睡眠中に無意識のうちに上下の歯を強く噛み合わせ、横方向に滑らせるタイプの歯ぎしりです。グラインディングを続けていると、歯の表面のエナメル質が削れ、内部の象牙質が露出してしまうほどの「すり減り」が生じます。また、歯を支える骨へのダメージも大きく、歯周病の悪化につながる恐れがあるので注意が必要です。ギシギシ、ギリギリという特有の音を伴うため、周囲の人に気づかれやすく、グラインディングを指摘されたらすぐに当院までご相談ください。

クレンチング

クレンチングは、上下の歯を強い力で噛みしめるタイプの食いしばりです。昼夜を問わず起こる可能性があり、特に事務仕事や重労働に従事する方に多い傾向が見られます。頬の筋肉の緊張や、お口の中の骨隆起(コブ状の骨の膨らみ)が見られ、歯の亀裂や破折のリスクが高まります。クレンチングは音を伴わないため、本人も周囲の人も気づきにくいのが特徴です。ただ朝起きた時に顎の疲れや違和感を覚える、歯の噛み合わせ部分が平らになっているなど、クレンチング特有の兆候がある方は、一度当院にご相談ください。

TCH

TCHとは(ToothContactingHabit)の略称です。わかりやすく言うと、無意識のうちに上下の歯を接触させる習慣のことを指します。通常、上下の歯は隙間を保っていて、1日の接触時間はほんのわずかです。しかし、なかには、長時間にわたって上下の歯を接触させてしまう方がいます。軽い接触であっても、長時間続くと顎周りの筋肉や歯、被せ物などにダメージを与える可能性があります。

タッピング

タッピングは、上下の歯を軽くぶつけ合わせるタイプの歯ぎしりです。昼夜を問わず起こる可能性があります。ただ歯や顎へのダメージはグラインディングやクレンチングほど大きくありません。なおかつ発症例もそれほど多くありません。またタッピングは、カチカチという特有の音を伴うため、本人も自覚しやすい傾向があります。

ナッシングタイプ(きしませ型)

ナッシングタイプ(きしませ型)は、歯ぎしりの中でも、特定の歯の部分で上下の歯を強く押し付け合うように、こすり合わせるのが特徴です。グラインディングと似ていますが、ナッシングタイプは夜間に無意識に行われることが多く、限られた部分の歯だけがすり減るのが特徴です。

歯ぎしり・食いしばり
による悪影響

歯ぎしりや食いしばりは、歯や顎に大きな負担をかける行為です。食事の時に噛む力の数倍もの圧力が加わっていると考えられています。このような過剰な負担が継続的にかかることで、さまざまな歯の問題を引き起こす可能性があります。歯ぎしりや食いしばりは、単なる「癖」ではありません。早期発見と適切な対策が重要です。

  • 歯が割れてしまう(歯冠破折)

    歯の外側の白い部分であるエナメル質は人間の身体の中で最も硬い組織です。
    ダイヤモンドよりも硬いと言われるエナメル質に覆われている歯ではありますが、大きな負荷が持続的に歯へかかり続けると、さすがに耐えきれなくなり割れてしまうことがあります。また、その歯が虫歯の治療をされていたり、神経が無い場合、より耐久性が落ちてしまい割れる危険性が上がります。

  • 歯の根っこが割れてしまう
    (歯根破折)

    歯ぎしりや食いしばりは、歯の表面を傷つけるだけでなく、歯の根っこを割ってしまう可能性があります。歯の根っこが無事であれば、詰め物やかぶせ物で対応可能です。しかし歯の根っこが割れると、歯を支えることができなくなり、最悪の場合、抜歯が必要になることケースも考えられます。その後はブリッジ、入れ歯、インプラントといった治療法の中から、ご自身に合ったものを選ぶことになります。

  • 詰め物が割れてしまう/
    取れてしまう

    歯ぎしりや食いしばりの症状があると、想像以上の力が歯や詰め物にかかり、詰め物が割れてしまったり、歯と詰め物の接着に影響を及ぼし、取れてしまうことがあります。
    詰め物を付けなおしても、歯ぎしりや食いしばりが続く限り詰め物に与える影響は繰り返してしまうため、根本的な改善や対策が望まれます。

  • 歯周病の進行につながる

    歯は歯周組織である歯ぐき、顎の骨(歯槽骨)、歯根膜、セメント質で支えられています。歯ぎしりや食いしばりによって大きな力が加わると、歯ぐきや歯を支える組織が炎症し、歯周病を悪化させてしまう恐れもあります。
    歯周病が進行していくと歯周組織が歯を支えきれなくなり、抜歯が検討されます。歯を抜く1番の原因が歯周病による物ですが、歯ぎしりや食いしばりによって負担過重になるのを軽減することで、歯周病の進行予防に繋がります。歯を一度失ってしまうと生えてくることはないため、歯ぎしりや食いしばりを放置することなく改善や対策することが望まれています。

  • アブフラクション

    アブフラクションとは、歯に過剰な力がかかることで起こる現象です。歯を守るために、歯ぐきが引っ張られ、その位置が下がってしまうのです。その結果、歯と歯ぐきの境目にあるエナメル質や象牙質の一部が欠けてしまうことがあります。アブフラクションが起こると、象牙質が外からの刺激にさらされ、知覚過敏の症状が現れることがあります。歯の感受性が高くなり、冷たいものや熱いものに対する痛みを感じやすくなってしまうのです。
    歯ぎしりや食いしばりの症状が強い場合、アブフラクションが起こりやすくなります。このような症状がある場合は、歯科医師に相談することをおすすめします。適切な治療法を検討し、アブフラクションの進行を防ぐことが大切です。

  • 歯がしみる

    大きな力が歯に加わることで、歯と歯ぐきの際が凹む・歯ぐきが下がる・歯の表面にあるエナメル質が剥がてしまうなどの変化が起きます。それによりエナメル質の内側にある象牙質というしみる症状を神経に伝える部分が露出してしまい、しみる症状が出てきます。

歯ぎしり・食いしばりは、抜歯の主な原因にも深く関わっています

日本人の抜歯原因の上位には、歯周病、虫歯、破折が挙げられます。しかし、歯周病や虫歯で抜歯に至ったケースの中にも、実は破折が関与していた例は少なくないと考えられています。したがって、歯ぎしりや食いしばりへの早期の対応は、将来的な抜歯を回避する上で非常に重要です。自覚症状がない場合でも、定期的な歯科検診で、これらの問題を早期に発見し、適切な治療や予防措置を講じることが大切です。

歯ぎしり・食いしばりの
治療法

噛み合わせの治療

アブフラクションの予防と改善には、適切な噛み合わせの調整が重要です。歯に加わる力を均等に分散させることで、特定の歯に過剰な負担がかかることを防ぐことができます。当院では、精密な検査を行い、患者様の噛み合わせの状態を詳細に分析。その結果に基づいて、歯の削合や補綴物の調整など、必要な治療を行います。

スプリント療法(ナイトガード)

マウスピースの使用もアブフラクションの予防に有効です。マウスピースを装着することで、歯ぎしりや食いしばりによる力を分散し、歯へのダメージを軽減することができます。当院では、患者様一人ひとりの歯に合わせたマウスピースを作製しています。市販のマウスピースとは異なり、適切なフィット感と耐久性を備えているため、安心して使用していただけます。また、保険適用の範囲内で作製可能なタイプのマウスピースもございます。

スポーツマウスガードも取り扱っています

スポーツマウスガードは、運動中の歯への衝撃を緩和し、歯や歯ぐき、口腔内の怪我を防ぐためのマウスピースです。ボクシング、ラグビー、サッカー、野球などさまざまな分野で活用する人が増えています。スポーツ選手は競技中に瞬間的に歯を食いしばることが多く、歯の磨耗が早く進行する傾向があります。その際、スポーツマウスガードを装着することで、歯のすり減りを軽減できるのです。また、衝撃による歯の破損や脱落、自分の歯で舌や唇、粘膜を傷つけることを防ぐ効果もあります。歯科医院以外でも入手できますが、患者様のお口にフィットしたものでないと意味がありません。
当院では、一人ひとりの口腔内の状況に合わせてスポーツマウスガードの作製も行っております。お気軽にご相談ください。