歯周病治療

歯周病になる原因

細菌

歯の表面に付着するプラークは、無数の細菌の集合体であり、その中には歯周病の原因となる歯周病菌も含まれています。プラークは、歯と歯肉の間に蓄積し、歯周ポケットを広げながら歯周病を進行させます。さらに、放置されたプラークは、唾液中のミネラル成分と結合して硬くなり、歯石へと変化します。歯石は歯ブラシでは除去できず、その周囲にさらにプラークが蓄積することで、歯周病はさらに進行していくのです。

歯並び・噛み合わせ

歯が重なり合うように生えている場合、歯ブラシが届きにくく、プラークや食べカスが溜まりやすくなります。この状態が続くと、細菌による歯ぐきの炎症が引き起こされ、歯周病のリスクが高まります。また、上下の歯の噛み合わせに問題がある場合も要注意です。一部の歯に過度の力がかかったり、逆に全く接触しない歯が生じたりすることで、力の不均衡が生まれ、歯周組織へのダメージにつながるのです。

成人矯正 小児矯正

詰め物・被せ物の不具合

補綴物（詰め物や被せ物）の精度および適合性の悪さは、歯周病の発症リスクを高めます。歯と補綴物との間に隙間があると、食べかすやプラークが溜まりやすくなるからです。そのため、定期的なメインテナンスを受け、必要に応じて修復物の交換を行うことも考える必要があります。

歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりの際にかかる力は、通常の咀嚼時の何十倍にも及ぶと言われています。この過剰な力は、歯の欠損や破折を招くだけでなく、歯周組織にも大きな負担をかけます。また、片側での咀嚼癖や欠損歯の放置も、一部の歯に過度の力が集中する原因となります。これらの習慣が続くと、歯周病のリスクが高まるのです。

歯ぎしり・食いしばり

喫煙の習慣

喫煙は、歯ぐきの血管を収縮させ、血流を減少させます。その結果、白血球の働きが鈍くなり、歯周病菌が増殖しやすい環境が作り出されるのです。また、煙草の煙に含まれる有害物質は口腔内の免疫細胞の働きを抑制し、歯周病菌に対する抵抗力を弱めます。

その他

歯周病の発症や進行には、遺伝的素因やストレス、歯の形態異常、口呼吸、全身疾患など、さまざまな要因が関与していると考えられています。これらの要因は誰にでも当てはまる可能性があります。ご自身の歯とお口の健康を守るために、定期的な歯科検診を受け、早期発見・早期治療に努めるとともに、日々の丁寧なセルフケアを心がけることが大切です。

抜歯の最大の原因は
歯周病です

歯周病と全身疾患の関係

歯周病は全身疾患を引き起こすリスクを高めます。
歯ぐきの毛細血管などから体内に侵入し、強い毒素を放出しながら全身を巡ります。
結果的に、動脈硬化に伴う心筋梗塞などの虚血性心疾患、糖尿病の発症や進行の原因にもなりえます。また、妊娠中の場合は子宮の収縮を強めて早産や低体重児出産のリスクを高めると言われています。

• 影響があるといわれる全身疾患

  • 糖尿病
  • 骨粗鬆症
  • 脳梗塞
  • 狭心症・心筋梗塞
  • 誤嚥性肺炎
  • 早産・低体重児出産 など

妊娠中の歯科診療についてもご相談ください

妊娠中は、ホルモンバランスの変化によって、口腔内の環境が大きく変化します。虫歯や歯周病の原因菌が増殖しやすくなり、歯の痛みや歯ぐきの腫れに悩まされる妊婦さんが多いのです。しかし、歯科治療で使用される麻酔薬やレントゲン撮影が、胎児に悪影響を及ぼすのではないかと心配し、受診をためらってしまう方も少なくありません。そのような状態で口腔内のトラブルを放置してしまうと、症状がさらに悪化してしまうこともあります。当院では、妊娠中の患者様が安心して治療を受けられるよう、適切な時期に必要なケアを提供する体制を整えております。

マタニティ歯科

歯周病の進行段階と治療法

1. Level 1歯肉炎

   

   歯ぐきの炎症です。
   赤く腫れて歯磨きをすると出血するなどの症状があります。

   治療方法
   炎症の原因となっている細菌の除去とホームケアを行ないます。

2. Level 2軽度歯周炎

   

   プラークと歯石が歯と歯ぐきの間に入り込み、ポケットを作ります。
   歯槽骨(歯を支えている骨)を破壊し始めます。

   治療方法
   歯周基本治療を行います。
   (歯周基本治療とは、プラークや歯石の除去、噛み合わせの調整などを行うことです)

3. Level 3中等度歯周炎

   

   歯槽骨の破壊が進み、歯がグラグラし始めます。この段階になると、膿が出て、口臭が気になるなどの症状があります。

   治療方法
   歯周基本治療を行い、必要であれば歯周外科治療を行います。

4. Level 4重度歯周炎

   

   歯槽骨がなくなり、歯のグラグラが激しくなります。
   最終的には歯が抜け落ちてしまいます。

   治療方法
   可能な限り歯を残せるように処置しますが、保存するのが難しいという判断になった場合、抜歯が必要です。歯が無くなってしまった部分はブリッジ、入れ歯、インプラントで補います。

歯周病の治療と
メインテナンス

• スケーリング

  

  歯の表面や、歯と歯ぐきの間にあるプラークや歯石を専用の器具(手用、超音波)によって取り除きます。

• 歯面清掃

  

  専用の機械によって、タバコのヤニや茶渋、バイオフィルム(※)などの歯の表面に付いた汚れを取り除きます。

• ルートプレーニング

  

  スケーリング終了後に、歯の根の部分の表面の汚れたセメント質を除去し、歯の根を粗造になっている所を滑らかに仕上げます。これにより新たな汚れが付着しにくくなります。
  歯周ポケットの深い方など、必要あれば処置を行います。

※バイオフィルムとは
歯の表面につく細菌の塊で、一度歯の表面に型成されると歯ブラシでは除去できず、虫歯や歯周病のリスクを増大させます。わかりやすく例えると、水まわり、台所のヌルヌルした膜のようなものと考えて下さい。

• 動機付け(モチベーション)

  

  歯周病を改善する為には、数ヶ月に1度、歯科でメインテナンスをするだけでは足りません。日頃からのご自身でのセルフケアがとても重要です。そのためにはまずご自身のお口の中の状態を理解していただく必要があります。実際の写真や模型、鏡や動画を見ていただき、モチベーションを上げてもらうよう試みます。
  それにより、前向きに生活習慣や歯磨き習慣を変える努力をしていただき、二人三脚で歯周病の予防・改善をしていけたらと考えております。

• 咬合調整

  

  歯周病が進行すると、歯が動揺するようになり、咬合（噛み合わせ）のバランスが崩れてしまいます。その結果、上下の歯が不適切な位置で接触するようになると、歯は過剰な力を受け、歯周病をさらに悪化させるという悪循環を引き起こしてしまうのです。この問題に対処するため、歯科医院では咬合調整を行います。歯を微調整することで、歯にかかる力の分散を図り、歯周組織への負担を軽減できます。
  お口の中のケアによる炎症のコントロールと共に、噛み合わせのバランスを整える力のコントロールを行い、歯周病のケアを行います。

お口の中のケアによる炎症の
コントロールと共に、
噛み合わせのバランスを
整える力のコントロールを行い、
歯周病のケアを行います。

徹底したケアが
歯周病防止のカギ

歯周病予防には、現在の口腔内の状態を把握することが重要です。歯科医院で検診および専門的な清掃を定期的に受けるようにしましょう。同時に、ご自宅でのセルフケアを徹底することが大切です。正しいブラッシングの方法を身につけ、歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間の清掃も欠かさないようにしてください。歯周病を予防するには、日々の丁寧なセルフケアと、定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアの両方が欠かせません。

予防歯科